内包しているテーマの重さが凄い
レビュー日:2009-06-26 評価:★★★★★
表面上は早い展開と竹内、阿部の凸凹コンビ、病院屋上からの関係者墜落が事故しか殺人かといったサスペンスやコメディーのように勢いよく展開していきます。
しかしサスペンス部分の中心人物である堺雅人さんが演じた救急救命病棟部長という役柄と彼の演技には真に迫るものがあり、尚かつ私が観てきたどんな医療に関連した映画やドキュメンタリーと銘打った「医療現場の今を考える」といったTV番組より深く、強く心に突き刺さりました。
医療、介護への慢性的な人的、質的な人手不足。
極端な配分と点数制度により適正な運営が出来ない国の医療配点制度。
そして優秀な医者であるほど休めず、代わりが育たずつぶれていく。
生き残るのは世事に長け患者を救うことより病院が儲かることに手を貸す医師。
本作では命の本当の最前線である救急救命病棟では「手術費」「体内に入る液体や薬、補助パーツ」「入院費用」は点数が付き保険請求できるが傷口を洗う洗浄液、消毒剤、ガーゼ、絆創膏、包帯、三角布、肩当てなどは病院が負担している。
オマケに救急外来は常に命の危険と闘っている。そんなことに必至になるのは技術を、正義感を見せびらかしたいだけの厄介者。
一方、患者とは2〜3分問診し大量の投薬をして安定して患者を転がす器用な心療内科が病院に貢献する優れた医者だと描かれている。
勿論、本作の心療内科医は問題のある医師ゆえ「心療内科は今回の例え」でしかないのだが同様の理由で救急外来、産婦人科、小児科が減り続けている。
それらの原因はどこにあるのか?
リスクを避け無難な経営安定しか考えない病院か?
そもそも死亡率が高く危険な出産、帝王切開や救急出産となれば心臓手術と変わらない程度のリスクにも関わらず心臓手術より圧倒的に多い出産手術での死亡に対しての高額訴訟。
大人に比べて言うこときかないし、言いたいことを伝える術を持たない子供の医療は的確かどうかの判断も難しい。
だから救急医、小児科医、産婦人科医は医療界での不人気職に落ち着いた。
人の命を最も握る三病理科目がである。
その理由を病院だけでなくマスコミと国民の無知にあると査問委員会で怒鳴り、嘆き、呟く堺雅人の姿は「医療現場の担当者の嘆き」にしか見えなかった。
この映画は彼一人の存在でサスペンスドラマから強烈な医療問題提起型ドラマへと変貌した。
私は堺雅人という俳優の実力を初めて思い知らされた。
素晴らしいドラマだ。
けっこうマジです
レビュー日:2009-06-19 評価:★★★★☆
前作と大きく違うのは、コメディ的部分がかなり抑えられてます。賛否分かれるとは思いますが、『箸休め』として良い配分だったのではないでしょうか。その分、エンターテイメントでありながら、救急医療現場の医師不足、人材不足、過剰労働、等々の医療問題を深く、まじめに掘り下げていています。
また、大規模事故や災害が起こったとき、すべての人を救うことはできないから、その中で助かる可能性のある人を優先させるという『トリアージ』の問題についても描かれていました。大規模災害が起こった場合、トリアージは、物理的にもシステム的にも実施しなきゃならないでしょう。ただ、それが自分の身内に起こったとしたら、頭で理解できても、心で理解できるかというとなかなかに難しいものがあります。
そんなこんなで、なかなかに見応えのある作品となっていました。ただ、ミステリーとしての謎解きの部分が少々希薄になってしまった感はどうしてもあります。
今回の主役の一人である、救命救急担当の速水医師を演じた堺雅人は素晴らしかったです。彼の存在そのものがミステリアス感につながっています。彼は、浮世離れした少年ぽい役者(それが魅力でもある)だと思っていたら、「クライマーズ・ハイ」では凄みのようなものを見せました。その2面性が混じり合った速水というキャラクターは、まさに彼の為のキャラクターとさえ思えました。
もちろん、白鳥の阿部寛は相変わらずのアクの強さを出していましたし、田口の竹内結子はのほほんとしながらも存在感を発揮しており、この凸凹コンビは、いよいよ安定感を増してきたという感じがします。このコンビで続編期待です。
堺雅人さん,超格好良かったです
レビュー日:2009-06-08 評価:★★★★★
脚本も画も音も役者陣も全て良かったですが,特に凄かったのは堺雅人さんの演技.
脚本的にと云うか,役の配置的な部分もあるのでしょうが,堺さん,完全に主演の2人を喰う演技です.
TV「情熱大陸」で観ましたが,堺さんは実際にこの映画の撮影期間中,ほとんどまともな食事をせず,役同様にチュッパチャプスばかり食べていたそうで,超多忙な救命救急医を体現していました
(げっそりとしていてもなお,鋭く光る目.そこにこもる情熱と執念が本当に素晴らしい&格好良いです).
ストーリィの展開も解りやすく見事で,2時間があっと云う間でした.
そのジェネラルの好物,チュッパチャプスもかなり"粋"にストーリィに活きています.
ルージュと云い,チュッパチャプスと云い,ここまで小道具を活かした映画は初めてです.
私は映画としての完成度の高さに,涙が出ました.
(美しいモノを観たときに出る涙です).
また,前作のネタバレながら「バチスタ」チームの佐野史郎さん,玉山鉄二さんもちゃんと出演しているところは,リアリティとして,そして前作を観ている人へのサービスとして,とても良いですね.
「東城大学付属病院」がちゃんと続いている,と強く感じました.
本作と前作は全く質(方向性)の違う映画ですが,前作を観ておられない方はぜひ「チームバチスタの栄光」をご覧になってからどうぞ.
本作をより一層楽しめます.
映画だけでも星5つの価値があると思いますが,DVD特典も凄く楽しみなので,星5つof星5つです.
余談ですが,原作小説・シリーズ2作目「ナイチンゲール」を飛ばしての3作目を映画化.「ナイチンゲール」は映像化不可能なのでしょうか(原作未読).
竹内結子さん&阿部寛さんの「東城大学付属病院」シリーズ,ぜひとも創り続けていってもらいたいものです.
竹内結子さん、きれいで、、、惚れます。意外と最先端。
レビュー日:2009-04-01 評価:★★★★★
役がらは前回に引き続き心療内科の医師。今回は倫理委員長という、ちょっと偉い役割で登場。日本の医療はがんばってくれている医者が沢山いてくれても、総数が不足しているらしい。そんなんで、大事故でケガ人が多いなら、病院は戦闘状態になる。特に救命の仕事は夜間までありえる大変な仕事。
奮闘するジェネラル堺雅人さん、羽田美智子さん、貫地谷しほりさんたちも好演。
ルージュの意味、最後にわかります。
で、劇場で竹内結子さんの御姿に満足したら、ちょっとプレミアムなビールで乾杯。
まじめな話を少し。
救命救急、世界水泳などの限界を乗り越える挑戦では、一気に駆け上る、との気合いと、脳神経でチャレンジ好奇心が働いて、初めて頂点を極めて、次のチャレンジが出来るようになるらしい。
その場で、ルージュは必要で有効な意味合いを持つ小道具。
この映画、楽しむだけでなく、結構深いところまで表現しようとしているのかもしれない。
まずは観て楽しんでください。
救命救急のありかたとは?
レビュー日:2009-04-01 評価:★★★★☆
心療内科医・田口と厚生労働省の役人・白鳥とのコンビの活躍を描いた、海堂尊原作によるシリーズ3作目の映画化であり、映像版では『チーム・バチスタの栄光』に続く第2弾となります。
今回は田口が勤める大学病院の救命救急センター長・速水にかけられた医療機器メーカーとの癒着疑惑を、ふたりが調査していくもの。調査開始から程なく、疑われたメーカーの人間が病院の屋上から飛び降りて死亡し、それが自殺か殺人かという謎も加わっていきます。
今回の主役コンビは、事件の背景を説明する狂言廻し的な存在で、メインとなるのは速水に扮した堺雅人のほうです。この独特の個性を持った速水を中心に置くことで、この映画は救命救急医療が抱える問題を浮き彫りにしているように思えました。
私は原作は読んでいませんが、本作は、笑える田口と白鳥の凸凹コンビに加え、堺雅人の好演が光る、『チーム・バチスタの栄光』とはまた違った意味で胸に迫る、上質の映画に仕上がっていました。